乾湿にかけるとは
牡蠣は水中だけで養殖するものではなく、
抑制棚という海が満ちた時には海中に沈み、引いた時には海面から顔を出す場所で一時的に鍛える。
牡蠣は元々海の中だけでなく、潮が引いた時には海面より上に出る岸壁などに付着することも多いため、海の中だけでなく空気に触れても生き残ることができる。
この原理を利用して、牡蠣の強いものだけが生き残るように鍛えるのが、乾湿にかけるということ。
要するに、潮の満ち引きを利用し、潮が満ちている時は海の中、潮が引いてるときには海面より上に牡蠣が顔を出すようになる。
そうすることによって、安定した水温で生きるのではなく、夏の暑い日にも耐え、冬の寒い日にも耐える、強い牡蠣だけが生き残る。そうすることによって、個体数が多いことによる餌の取り合いにもならずに良い牡蠣が作れる。
乾湿をかけ始める時期
養殖業者にもよるが、早い業者で牡蠣がホタテの2日から4日で抑制棚に移動させる。
遅い業者は2週間ぐらい筏の上で管理して抑制棚に移動させる。
ただし、小潮の満ちの時間に移動することが慣習になっている。
理由は、大潮や下げの時間に移動させると、牡蠣が水面に出る時間が長くなるから、牡蠣が死んでしまう。
付着したての牡蠣は弱いため、夏に長時間水面から出てると暑さに負ける。
そこで小潮の満ちで移動させることにより、牡蠣を環境にならしてから大潮に耐えるまで成長させる。
その後、海中に垂下するまでの間の数か月間抑制棚で鍛える。
今年の傾向
今年の傾向として、牡蠣の付着は多いものの、抑制棚での生存率が悪い。
生存率が悪い理由は以下の事が考えられる。
- 牡蠣の付着が多いため、餌の取り合いが発生している→餌が牡蠣の付着に対して少ない
- 牡蠣の付着が多いため、酸素の取り合いが発生している→酸欠になっている
- ヒラムシが例年に比べて多い
- 水温が高い
ヒラムシとは、平たく薄っぺらい生き物で肉食である。
また、牡蠣殻の内部に侵入し牡蠣を食べる。この食害による被害は甚大である。
対処法としては、
牡蠣より乾燥に弱いため干して駆除する。
真水に弱いため、塩分濃度の薄い海域で駆除する。
以上のように今年は抑制棚での管理が難しくなっている。
牡蠣がいなくなったコレクタは、抑制棚から出して再び牡蠣の幼生を付着させなければならない。
まとめ
今シーズンは
牡蠣の幼生の付着は好調。
抑制棚での管理が難しい。
水温が高い。
ヒラムシが例年に比べて多い。
今後は抑制棚での管理を徹底的に行い、こまめに牡蠣の状態をチェックすることが重要となってくる。
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